花粉症
花粉症には早めの治療が大事です。
初期療法
花粉症のつらい症状を和らげるには飛散開始予測日の1週間をめどに薬を飲み始めるのが理想です。花粉飛散開始前あるいは早期から薬を飲み始めることで、症状を軽くすることができます。例年の症状を伺いながら適切な内服薬等を飲み始めることでつらい季節の症状を軽くすることができます。これを初期療法と呼びます。
本格的な飛散開始日は?
スギ花粉が飛び始めるのは例年2月上旬頃です。(東京都内で花粉飛散が始まる:日本気象協会)
花粉症の症状は?
花粉症の症状にはくしゃみ、鼻水、鼻づまりのほかに、目のかゆみ、のどの症状もあります。
のどの症状にはせき、のどのかゆみ、のどのイガイガ、のどの痛みがあり風邪と思われる場合もあります。
花粉症治療
花粉症はつらい症状ですが中でも鼻づまりはなかなか改善しないつらい症状の一つです。鼻づまりは鼻粘膜過敏性が原因と考えられており、軽症のうちに開始し、シーズンを通じて鼻粘膜の過敏性を高めないことが大切です。(花粉症対策情報)
一般に、アレルギーの治療に使う薬は、①使用後すぐ効く抗ヒスタミン作用と②アレルギー反応を引き起こす肥満細胞の反応性を抑制し、アレルギー症状の発現を予防する作用がある薬の2種罹があります。飛散開始の1~2週間前より治療を始めることにより予防することが可能です。すでに症状が出てしまった場合には程度に合わせて内服薬や外用薬を選択して治療します。
治療には使う薬
使用する治療薬は、大きく分けて以下のようです
①内服薬
抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬・抗ロイコトリエン薬・抗トロンボキサン薬・抗プロスタグランディン・Th2サイトカイン阻害剤など
②外用薬
1.点鼻薬(ステロイド薬・抗アレルギー薬)
2.点眼薬(抗アレルギー薬など)
内服薬には眠気の強いものから弱いものなどがあります。必ずしも眠気が強い(鎮静作用がつよい)から効果が良いわけではありません。
Non-sedating:鎮静作用がないもの、Less-sedating鎮静作用が弱いもの、Sesating鎮静作用があるもの
Patrizio Blandina, Maria Beatrice Passani. Histamine Receptors: Preclinical and Clinical Aspects, Springer, 2016, p.321. ISBN 978-3319403083.
妊娠中の花粉症治療について
妊娠中は内服加療は避けたほうがよいと考えられております。(国立成育医療センター:妊娠と薬情報センター)
胎児への薬の影響は、胎児の月齢、薬の効能、用量によって決まります。妊娠4カ月までは先天異常が出やすい危険な時期です。可能な限り薬の投与は控えたほうが良いでしょう。
抗ヒスタミン剤:通常量、短期使用は哺乳児にとって許容できる。潜在的に乳汁分泌を抑制する可能性がある。 長期間服用が必要なケースでは、中枢への移行が少ない抗アレルギーを推奨。短期間の使用であれば昔からある薬で妊婦への投与した場合の情報量が多い薬を使用する:例クロルフェニラミンマレイン酸塩
抗アレルギー薬: 中枢への移行は少なく、抗ヒスタミン薬に比べ安全性が高い。例:ロラタジン
抗ロイコトリエン薬:安全性に関しては検討するに足る十分なデータがない。
点鼻薬:副腎皮質ステロイドの点鼻薬も新しいものならほとんど血中に入らないので安全です。しかしながら、妊娠早期はできるだけ薬物以外の治療法とし、症状が強いときはステロイドなどの点鼻薬を用い、後期になったら安全な内服薬を使うのが妥当でしょう